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「価値」とは何か? #112

「ドリルじゃない、“変化”を売れ」──マーケティングにおける“価値”の正体とは?

マーケティングの世界で頻繁に使われる「価値」という言葉。でもそれ、本当にわかって使ってますか?

今回は、ただのベネフィット論に留まらない、「価値=変化」という核心に迫ります。コストは価格だけじゃない。UX、時間、心理的負担も含めて、どうすれば顧客の“今”を“理想の未来”に変えられるのか。

Apple WatchからJoyの逆さボトル、ネスプレッソの戦略まで、価値を「共創する」時代のマーケティングを、実例とともに徹底解説。

ビジネスに携わるすべての人に聞いてほしい、“価値”の再定義です。

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おはようございます。人間、広告者、回転します。直子さん、こんな話を聞いたことはないでしょうか。ないです。まだ聞いてないな。最初に質問が来たので。お客様が買っているのはプロダクトではなく価値であるうん、この話をよくこんな例え話で聞きますよね。ドリルを売るなら穴を売れ。うん、聞いたことあります?はい。意味はわかりますか?早い馬が欲しいなら、あれ違うか。何言ってんですか?ボ。ケようとしてる割にはちゃんと言い切れてないじゃないですか。

咳き込んじゃった。からすいません、はいはい。ドリルを買いたい人は本当に欲しいのはうん、ドリルを掘った後の状態だろうと。そうですね。はい。その通りです。まあ、一応解説します。お客様がドリルを購入する理由は、ドリルそのものが欲しいからではなく、ドリルを使って穴を開けたいからだと解釈します。と。で、その穴にフックを差し込んで子供の描いた絵を飾りたいのかもしれません。あるいは DIY で棚を作って整理整頓したいのかもしれません。

つまり、売っているのはドリルではなく、穴を開けることによって生まれる価値であるということなんですよ。うん、セオドアレビットさんの有名な例え話なんですね。はい。この考え方はマーケティングの基本中の基本と言っていいですよね。では、ここで質問です。またですか?むしろこちらが本論です。はい、ドキドキですね。プロダクトの価値という時の価値って何ですか?実現できること。ほう。なかなかいい回答じゃないですか。25 点。

おお、低めだった。というか、僕もほぼこれまでそのように認識していました。はいはい。顧客に与える価値、顧客が思っていることを実現することしかしですね。今回改めて、マーケティングでよく使う価値という言葉の意味を考えていたら、想像していた以上の深い世界が広がっていることが分かりました。ほう、最初に言っておきましょう。大抵のマーケッターや広告パーソンが考えている価値という言葉。間違いです。こう。我々が使っている価値という言葉、ほとんどベネフィットと同じ意味で使ってますよね。

うん、つまり顧客が感じる便益という意味ですよね。価値イコール便益というのは、厳密に言うと間違いです。はあナオコさんプロダクトの提供価値には、例えばどんなものがありますか?例えば機能的価値、他には?放送事故になってる。放送事故になってるよ。他には、体験。おお。ずいぶんハイブロウなもきましたけど、経験価値というもの、ありますね。よく言われるね。うん、解説しよ。うはい。機能的価値。これはまあ、製品サービスがフィジカルな意味で目的を果たしてくれることですね。

はい。情緒的価値。これ使って嬉しい、楽しい、気分が上がるみたいなこと。社会的価値、他人にどう見られるか、承認や所属感みたいなものにつながるもの。自己表現的価値、自分らしさを実現できるという価値。それから経験価値、体験そのものが新しい、面白いといった価値。コスト削減的価値っていうのもありますね。お金や時間、手間を節約できるという価値、まあ、いろんな種類の価値がありますよ。まあ、こんなところが教科書的に言われている提供価値ですよね。

で、各事業者は自分が提供しているプロダクトの価値について、どんな価値を提供したいかを考えてマーケティングしていくというわけですよね。例えばルイヴィトンは明らかに自己表現価値を提供してますよね。で、洗剤のアタックは機能的価値を前面に押し出しています。はい。ディズニーランドは複合的ですけど、まあ強いて言うと経験価値がメインでしょう。しかしですよ。ここで英語力が僕の 2億倍ほどある長さにお聞きしたいんで。

すけども。はい。例えば、じゃあ機能的価値のことを英語で。なんて言います。か。ファンクショナルベネフィット。はい。正解です。おお。よかった。おかしくないですか?でもよく考えてください。機能的価値をファンクショナルベネフィット。に英訳するんですよね。うん。バリューじゃないのはなぜだというとこですね。そうなんですよ。価値は英語にすれば本来バリューですよね。でも今、ナアコさんはベネフィットと言いました。つまり、英語のベネフィットは、なぜか日本語で価値と翻訳されてしまうんですよ。

うん、これが混乱の始まりと言っていいでしょう。うん、本来であれば、機能的便益、情緒的便益と訳すべきでしたね。さらに、こんな説明を受けたことないですか?価値は企業が提供するもの。ベネフィットは顧客が感じるもの。うん。聞いたことあります。この説明も間違いです。というか、僕もこうだと勘違いしてました。今までこれでは主語が変わっただけで、やっぱり価値とベネフィット、ほぼおなじみになってしまいますよね。うん、提供するものを受け取るもの。

うん、主語が変わっただけ。ほぼといったのは、企業が提供する価値通りに顧客が価値を受け取るとは限らないからですよね。そうですね。これはいい視点などに後ほど説明します。一方で、価値という言葉は正しく使っている会社も実はあるんですよ。それは一つはマクドナルドさんです。はい。おなじみのバリューセットという名前のバリューはまさに本来の価値の意味で使用してます。うん、この場合のバリューは顧客が払うコストよりも大きなリターンを提供するという意味ですよね。

ニトリのお値段以上も同様にバーリューを示しています。つまり、高品質なものを低価格で提供するよということですよね。このことから、価値とは何かの一端が見えてくるんじゃないでしょうか。はい、お答えください。品質というか、得られるものが値段を超える。ピンポン?完璧な説明完璧ですよ。やった。はい。答えは実はマーケティングの巨匠であるフィリップコトラーが持ってました。コトラー曰く。価値とは、消費者が受け取るベネフィットから消費者が支払うコストを引いたものである。

うん。つまり、バリューはベネフィットマイナスコストです。なるほど。バリューセットはコンボにすることで単品より値引きを実現してますよね。うん、つまり、消費者が受け取るベネフィットが、消費者が支払う価格を上回っていることが明らかですよね。はい、だからバリューセット。このベネフィットとコストの差のことを価値っていうんです。これが価値の正体です。うん、逆に言えばベネフィットとコストがイコールだったり、ましてやコストの方が高ければお話にならないですよね。

バ。リューゼロじゃんってことですね。そ。うです。むしろマイナスだったりします。そのようなプロダクトは逆立ちしたって売れないことになりますよね。うんえ。さらにその逆を言えば、価値の差でマーケティングの勝敗は決まるということになりますよ。はい。仮に同じカテゴリーのプロダクトを提供していたとしても、価値の高い方が選ばれるということです。ここでちょっと補助線入れますと、ベネフィットは企業視点でも消費者視点でも定義は同じです。

で、我々が企画書の中で提供価値という時は、提供便益と言い換えてもいいぐらいですね。ただ、提供する側と受け取る側でベネフィットが一致するとは限らないということです。よって、消費者が受け取る便益のことをエンドルベネフィットという言い方で区別することがありますね。うん、僕はこの言葉が好きでよく使います。いずれにしても、エンドベネフィットは完全にコントロールしきれないというのは心理ですよね。こればっかりは仕方ありません。

まあ、だからクラスターとかセグメントといった概念によって、なるべく多くの顧客が求めるベネフィット掘り当てようとするわけですけれども、これはまた別の機会に説明したいと思います。はいここまで。の話を整理しますとこういうまとめになりますベネフィットは顧客が得る便益のこと。コストは金銭だけではなく、時間や心理的な負担のこと。価値というのは、ベネフィットからコストを引いたものです。はい、で、ですよ、価値の定義はわかったところで、価値をもっと高めるにはどうすればいいんでしょうか?

はい、直子さん。アウトプットのクオリティを上げるか?価格を下げるか?素晴らしい。どちらも正解です。はい、二つあるんですね。まあ、一つおっしゃったように、魅力的なプロダクトによりしていくことですよね。はい。でもこれ、結構難しいことです。例えばファブリーズとリセッシュではどちらの方が価値が高いのかなんて、正直我々一般消費者にはよくわかんないですよね。わからないです。うんで。も安心してください。価値を上げる方法がもう一つあるんです。

はい。それが今、直子さんが言った価格を下げるで、これ、もうちょっと抽象化して言えば?消費者が支払うコストを下げるっていう方法ですね。で、実は先ほどバリューセットの例を出したのは、ちょっとミスリードをさせるためでもあったんですね。実は、消費者が払うコストというのは、価格のことだけではないんですよ。うん。時間、労力、心理的負担、失敗するリスクとか、消費者が払っている定量化しにくい見えにくいコストも含まれました。

はい。例えば、アプリをインストールするときに、設定が難しい使い方がわかりにくいと感じれば、それを心理的時間的コストとして認識されますよね。はい。遠くのセブンイレブンよりも近くのファミマに行きますよね。うん、これは体力コストの差異と言えます。つまり、価値を大きくするためには価値を引き上げるってことはもちろんながら、これらの消費者のコストをいかにして下げるかっていうのも非常に重要な視点だということですね。

うん。で、この考え方を突き詰めていくのは、ユーエックスデザインという領域なんですよ。いかに購買体験をスムーズにしたり、リッチにしたりできるかを考えて実行するということですね。で、この分野の王者は間違いなくアマゾンです。売ってるプロダクトはほとんどの場合、他のイーシーサイトやリアル店舗でも買えるので、プロダクト自体の価値には差異はないですよね。はい。しかし、アマゾンは検索や履歴のシステムに優れていて、情報にめっちゃアクセスしやすいわけ。

ですよ。うんで、一日ないし当日に配送される流通システムを持ってるんですよ。さらに頻繁に値下げのセールをやってます。お客様の持つあらゆるコストを下げにかかってくる。だから相対的に価値が高まっていく。もう誰も太刀打ちできない。それがアマゾンです。ガガしかし、例えば北欧、暮らしの道具店とか無地とかどうですかね。もちろん規模感はアマゾンと全然違うんですけど、全くアマゾンに負けてる気がしないじゃないですか。

北欧。暮らしのなんとか店がわからなかったです。北欧暮らしの道具店。北欧のおしゃれな家具や食器、洋服などを売っている。非常にリピーター率の高い素晴らしいイーシーショッピングサイトイーシ。ーサイトなんですね。思わず、ビッグサイトで年に 1回実施される展示会のことかと思いました。ああ。違います。そういうポップアップではないんです。で、コストがアマゾンより劣るとすれば、価値がアマゾンより高いということになりますよね。

価値自体を高めるのは先ほど難しいと言いました。確かに難しいんですけれども、二つの方法で上げることができます。というか、上げなければいけません。上げ続けなければビジネスにならないからですね。そうしない限り、例えば、この前ニュースでやりましたけど、ルンバのアイロボット車、はい、今経営危機ですよね。うん、他社にロボット掃除機、どんどん模倣されて改良されていったとはいいうことで、市場からどんどんルンバが駆逐されていってるんですよ、今。

だから景気に陥っています。うん、アイフォンになってしまうわけですよ。ちゃんと価値を上げなきゃいけないじゃあ価値とは何でしょうかということなんですけど、いやいやいやいや、さっき方程式言ってたやんと。はい、ベネフィットからコストを引いたものだと、お前が言うたやんということなんですけども、まあそれは実は価値の説明としては不十分なんですよ。ではないものと言ってるだけでというものという説明になってないですよね。

まあ、犬って何?と言われて、人間に飼われている動物のうちでにゃーと鳴かない動物と答えているに過ぎないわけですよね。うん、じゃあ、価値の本質的な意味を考えてみましょう。コストをかけても手に入れたいこととはないかナオコさんがあるプロダクトを買うとき、どんな価値を期待して買うのか。それを抽象化して説明することはできますか?手間をかけても手に入れたいもの。うん。それは。何を期待してるんですか?その商品でしか得られない。

満足。お、いいですね。いいと思います。52 点低い。ちょっと上がってきました。はい。ヒントはもう半年ぐらい前にあったジョブ理論です。思い出してください。成し遂げたいジョブと雇用するプロダクトありましたね。はい。で、ここで参考文献なんですけども、菅原健一さんの小売商売という書籍がございます。厚い利益に小さく売るとか言って、小売商売なんですけども、この本を読んでちょっと感動したんですけど、一言で価値とは何かを定義していました。

答えは変化です。おお、なんと。なく意味わかりますよね。顧客がプロダクトに期待するのは、それを買うことで今より良い状態に変わることなんですよ。で、その変化量が多ければ多いほど価値が高いと消費者を判断します。うん、で、再び菅原健一さんの小売商売から事例を吹くと、その代表例はアップルウォッチです。時計をつける腕っていうのは大抵一本ですよね。だから、そこに何を巻きつけるのかという、たった一つの枠をめぐる戦いになるわけですよね。

で、その時時間がわかるという機能に特化するんじゃなくて、その他のデジタル機能、特にアップルウォッチの場合はヘルスケアのトラッキングを付与したのが重。要なと。ころですよ、ね。単なる時計よりも顧客に与える変化量は圧倒的に多いですよね。はい、必然的に、たった一本の腕をめぐる争いを有利に進めることができるわけです。一見、デジタルデバイスやソフトウェアにしか適用できなさそうだと思ったかもしれません。しかし、食器洗剤のジョイの逆さボトルを思い出してください。

蓋を開ける必要がなく、押すだけで洗剤が出てきて息だれしない。画期的でしたよね、あれは。素晴らしいですよね。コモディティにおいても付加価値の向上が可能なんですよ。ちなみに、この付加価値の提案のことをなんて言いましたか?バリュープロポジションですね。おお、懐かしい。懐かしい。昨年の会でお話してますので、まだ聞いてない方はぜひお聞きください。実はこちら、めちゃくちゃ聞かれてる回なんですよ。いい会でした。

で、このように顧客の変化量に目をつけつつ、ジョブ理論を応用することで、顧客がどんな変化を望んでいるか把握して、その変化を最大化するために製品開発をする。そうすることによって価値を引き上げることができるということですね。まあ、ジョブ理論の理解がまだの方は、こちらも解説会ありますので、ぜひお聞きください。で、顧客の変化という観点で、もう一つ大事な概念を最後に説明したいと思います。ちょっと難しくなりますが、それはサービスドミナントロジ。

ッ。クという概念です。先ほど、ベネフィットは企業側が提示することはできるが、消費者がその通りにベネフィットを受け取ってくれるとは限らないと言いました。はい。そのつじつま合わせていく考え方がこのサービストミナントラジックです。で、この考えでは、ベネフィットは企業が一方的に製品に詰め込むものではなく、顧客との相互作用の中で競争される個クリエーションされるというふうに考えます。例えば、水筒を売るとしましょう。

はい。企業としては、保温や保冷やポータブル性をベネフィットとして指定しても、実際には文鎮として使われてしまっては、相互のすれ違いが生まれてプロダクトの価値を引き上げることできないですよね。うん。つまり、プロダクトは消費者に正しく使われることで初めて価値が生まれるわけなのでは?い、たとえ売り切りのプロダクトであったとしても、その使用、お客様が使用する瞬間のことまで考えるべき、手当するべきという考え方なんですよ。

うん。それによって価値を引き上げようという新しい発想です。なんでサービスドミナントって名前についなったんですかね?はい。プロダクトサービス化しようという理論だからです。はい、いいところで質問来ましたね。今、この考え方で躍進した企業に、日本が誇る重機メーカーである小松があります。知ってますね。長澤まさみさん。はい、そうです。そうです。そうです。あ、それ久保田だ。そうだ、そうですとか言っちゃった。はい。

小松はあの重機ですね。あのショベルカーとかダンプカーとか。あとは工作機械なども作っていますが、これ結構 MBA でも出てくる事例だったりしますよ。うん。で、小松はですね、自社のダンプカーとか工作機械にコムトラックスという遠隔監視システムを搭載してるんですよ。で、これによって顧客は重機の稼働状況とか警告情報をリアルタイムで確認できて、作業の効率化が図れるわけですね。で、さらに。不具合の時には、その情報が正確に小松に共有されて、修理や保全に役立つというわけです。

つまり、重機を売って終わりっていう売り切りモデルから維持管理システム、修理保全まで含めたサービス企業に大きく変化したということなんですよ。で、これ、売り切りの競合他社と比べたときに大きな価値として顧客の目に映りますよね。うん。で、サービスドミナントロジックっていうのはライフタイムバリュー。まあ、つまり、顧客が生涯で投下してくれる合計額を増やす事業戦略としても非常に有効です。うん。まあ、そういった意味では、いろんな企業が今模索していると言っていいんじゃないかな、というふうに思。

います。アイオーティーの世界ですね。その通りですね。例えば、我々が日常に使っているスマホアイフォン。あと前日のアップルウォッチはもちろん、テスラもサービス、ドミナントロジックですね。うん。テスラ、売り切りモデルじゃないですよね。うん。自動車自体のソフトウェアが継続的にアップデートされて、常に最新の仕様にしたりモニタリングしてくれてるわけですよ。ね。そして顧客に燃やされてますね。今ね、大変なことになってますけども。

はい。まあ、こう考えていくと、すべてのプロダクトはいずれサービスになっていって、それによって価値を高めていくのではっていう仮説が成り立ちますよね。はい。うまい棒ですらサービスになる可能性がありますよ。まあ、わかりませんけどね。はい。で、アナログの世界だって、例えばネスプレッソはそのようなモデルだと思いませんか?うん、マシン自体はそんな高くありませんよね。それより重要なのは、その後、継続的に買うカプセルの方ですよ。

このプロダクトをサービス化して、価値を高めていくっていうことですよね。ネスプレッソマシンを単体ではなくカプセルを売る定期的なモデルにすることによってサービス化していく。つまりサービスドミナントロジックの一つということになります。さらに個人利用というよりオフィスへ。なんか複数の人は早いサイクルで消費するっていうこともセットで売ってますよね。その通りなんです。すごいサービスですよ。はい。ということで、本日は超ざっくりだったんですけど、マーケティングにおける価値とは何かについてお話をしてきました。

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